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<< 九窓画 星舟 (HOSHIFUNE -the picture with 9 windows-)>>

159cm×159cm

2018~2019年制作

パネル・石膏・和紙・墨・岩絵具・金属粉

 

 

*2019.2.26. - 3.9.

 

記憶の劇場 III 展覧会■

「前田剛志展 ──明日の記憶」

 

at 大阪大学総合学術博物館 待兼山修学館

 

「九窓画 星舟」(新作)

「妣が国 倣當麻曼荼羅」

「戀歌」

「七十二候」(一部)

 



<< 春の絵 夏の絵 秋の絵 冬の絵 (Four season's pictures)>>

各120mm × 120mm

2017年制作

 

 

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『春の絵』

中央に、萌え湧き起こる春の象徴としての渦巻き文。

緑青色は、蕨(わらび)や薇(ぜんまい)、清き湧き水などを連想させる。

周りには、小魚を食べる鷺、水面を泳ぐ蛙、枝にとまる小鳥、地から這い出る勾玉形の幼虫、そして四葉文。

至る所で、同時多発的に命が芽生える。

 

『夏の絵』

晩夏の夕暮れ、生暖かい凪ぎが体を包み込み、生と死の間(あわい)を浮遊しているかのような感覚。

太陽は、日の出か落陽か。

舟は、宝船か精霊舟か、迎え送り、行きつ戻りつ。

渦巻く水面は、海か河か。

黄土色に染まった世界は、ヨミかトコヨか。

 

『秋の絵』

古い材木を見つめていると、人間と自然との、痛ましくも豊かな関係の歴史を垣間みることができる。

蓋形(きぬがさ)と翳(さしば)が上方に突きあげられ、赤い鋸歯文と共に秋の威容を露にする。

上空には、サシバ(鳥)の“秋の渡り”か。

 

『冬の絵』

秋の虫の音も絶え、物音ひとつしない冬の夜が纏う凍てた空気。

先の尖った青い葉が四方を指す姿は、凍てた大地の下で我慢強く春の訪れ(音連れ)を待つ、生そのもの。

ぽつぽつと散らばった胡粉の白は、葉に降る雪か、振るえる鈴の音か。

 

*音楽CD《四季の四部作》(平野一郎・作曲、吉川真澄・声)

 

[ワオンレコード WAONCD-330C]のアートワーク

 


<< 戀歌 -こひうた-(KOI-UTA)>>

1940mm × 3880mm 

2016年制作

紙本、墨、岩絵具、胡粉、金属粉

 

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万葉集の挽歌から着想を得た。大和葛城山の頂から眼下に望むと、古の葬送の道として知られる竹内街道を中心に、奈良と大阪の全景が広がる。

天を仰いで歌う童たちは、青白き幻影か、亡霊か。その聲は、たたなづく山々、たなびく雲の鱗、ススキのさざ波、人家や高層建築の群がりに木魂して、共に震える。

天がうたい、山がうたい、草木がうたう。

なにかを切に戀ふ人の、心は童歌にのせられて、時を地を超え継がれていく。

 

*「堂島リバーアワード2016」at 堂島リバーフォーラム【入選】(大阪)

 


<< 妣が国(HAHA-GA-KUNI)>>

size:117cm×117cm

2015年に完成

 

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中将姫伝説と當麻曼荼羅に感化され、その直接的な影響と自らの解釈を混交して絵画作品とした。

 

幼くして母を亡くし、自らも母になることなく入滅した中将姫は、

二重の意味で母を失った、という視座から、

中将姫が求めた浄土を「妣(読み=はは、意味=亡き母)が国」として描いた。

 

画面の構図や菩薩の配置は、當麻曼荼羅の阿弥陀浄土図(玄義分)を正確に写した。

作品タイトルに記した「倣當麻曼荼羅」はこれに由来するが、

個々の構成内容は「妣」の観点から別の要素に置き換えている。

例えば、當麻曼荼羅の菩薩は、本作品では代々の妣/母たちが集合する姿として描いた。

 

一方で、中将姫が都から眺めたであろう大和の黄昏(二上山・大和葛城山を遠景とする現在の橿原・大和高田・葛城・香芝一帯)を背景とし、

葛城一言主神社の乳銀杏の樹を左右に配置するなど、固有の風土とそこに住む者の心の動きが結びつく時と場を表現した。

 

* 「葛城発信アートFAIR2015」 at 当麻寺ほか【グランプリ受賞】(奈良県)


<< 哭騒の森(NAKISAWA-NO-MORI)>> 

1620mm×1303mm(全体)/606mm×910mm(枠内・上)/606mm×910mm(枠内・下)

 2014年10月に完成

 

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「泣沢の神社に美酒すゑ禱祈れどもわご大君は高日知らしぬ」 檜隈女王(万葉集 巻二)

 

天香具山の麓にある泣沢神社(畝尾都多本神社)は泣沢女(ナキサワメ)をまつる。

泣沢女は、イザナキがイザナミの死を悲しむ涙から生まれた女神。

山の西麓にあった埴安の池の畔の泉を水神として、蘇りを願う。

 

*2016.5 第21回今井町並み散歩町かどアート『日読みの杜』 at 今井町 細川町家(奈良県) 


<< 七十二候(The 72 climates)>>

「約20cm×15cm×20cm」の72個の立体造型で構成 

2013年に完成

 

*2013.11『誄七十二候 72の形象と肌理』 at けいはんな記念公園 ギャラリー月の庭 (京都府)

 

*2016.5 第21回今井町並み散歩町かどアート『日読みの杜』 at 今井町 細川町家 (奈良県)